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赤ちゃんと一緒に『自宅』で過ごす

お母さん、お父さん、ご家族は赤ちゃんが亡くなった後、限られた時間の中で行わなければならない多くの手続きや決定があります。
お母さんの場合は、出産後間もないため身体的負担を抱えています。そのため、赤ちゃんを抱っこしたいと思っていても産後に生じる痛み(後陣痛や帝王切開後の傷の痛み)などで思うように赤ちゃんを抱っこできないなどという悩みがある方は少なくともありません。また、赤ちゃんに会うことに心の準備(時間)が必要な方もいらっしゃいます。そのような場合、火葬は急がず(日本の法律上、いつまでに火葬しなければならないという法律はありません)、お母さんは赤ちゃんと一緒に退院し、自宅で赤ちゃんと一緒に過ごすという方法があります。今回は、自宅で赤ちゃんと過ごすことのメリット、デメリットについても紹介したいと思います。

赤ちゃんと「自宅」で一緒に過ごすことの意味

特にお母さんは、出産のために病院やクリニックといった慣れない環境・緊張の場で過ごすため、自身の気持ちに向き合うことができなかったり、気持ちをうまく表出できいことがあります。また本来なら面会できていたのに、感染症のために面会制限があり、お父さんやご家族の方が面会できない場合があります。週数が少ない赤ちゃんの場合は、お父さんが赤ちゃんに会いたくても直接会うことが出来ないままお別れとなってしまうケースもあります。少しの時間でも、お母さんにとって住み慣れた「自宅」で過ごすことで、お母さんは緊張がほぐれ、赤ちゃんや自分に気持ちを向けられやすくなるでしょう。またご家族も赤ちゃんと自宅で過ごすことで、赤ちゃんと一緒に過ごせたという思い出が残り、これからのご家族の支えになるでしょう。

赤ちゃんを「自宅」に連れて帰ることのメリット・デメリット

〈メリット〉
・赤ちゃんと過ごす時間が増える
・赤ちゃんのお世話ができる 
・きょうだいや祖父母も会いたい時に会える
・家族らしい過ごし方ができる など

〈デメリット〉
・赤ちゃんの状態をきれいに保つためには「冷却する」ことも一つの案です。夏などの気温が高い季節は赤ちゃんを冷却した方がいい場合があります。この場合、保冷剤などをこまめに交換する必要があります。
・冷却として、お棺に入れられるドライアイスの使用する際は、二酸化炭素中毒に注意が必要
※棺内のドライアイスによる二酸化炭素中毒に注意 | 消費者庁
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_071/
※全てのご遺体には何らかの死後の変化が現れます。そのため、死後変化が現れる前に赤ちゃんの写真・動画、赤ちゃんと一緒に写真や動画を撮るのも良いでしょう。
・赤ちゃんを自宅に連れて帰る場合、斎場の予約が必要な場合があります。地域や赤ちゃんが入院している病院、葬儀会社で異なるようです。まずは赤ちゃんが入院している病棟の職員に聞いてみましょう。
・ペットを飼っている場合は、赤ちゃんを寝かせる場所を考える必要がある など

〈参考文献〉
・笹原留似子、新生児・小児のエンゼルケアとグリーフケア、日総研、2015、p71-p86
・伊藤茂、死後の処置に活かすご遺体の変化と管理、照林社、2011、p100-p101
・米田昌代、周産期の死の「望ましいケア」の実態およびケアに対する看護者の主観的評価とその関連要因、2007
・多賀昌江、死産児安置のための棺の開発研究 : 助産師として、経験者としてのニーズから研究者としての製品デザインへ(<特集>子どものためのデザイン01)、2013

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