死産・人工死産

STORY28 大切な2人の命

プロフィール

A.Kさん/1998年生まれ
2023年9月:第一子を妊娠32週で長女出産、第二子を妊娠26週で次女を子宮内胎児死亡(名前:空ちゃん、生まれた時の身長は31.0cm、体重488g)
インタビュー時:死産から10ヶ月
#双胎妊娠 #一卵性双生児 #初産 #一絨毛膜二羊膜 #MDツイン #臍帯捻転 #双胎一児死亡 #低出生体重児 #緊急帝王切開

初めての妊娠

妊娠12、13週の妊婦健診で、2人のうち1人が頸部に浮腫(むくみ)があるため染色体の疾患があるかもしれないと医師から指摘されました。そのため、出生前診断を受けましたが、結果は陰性でした。その後、2人とも順調に成長してくれていました。しかし、妊娠26週を迎えた頃、仕事中に突然のお腹の痛みを感じました。初めての妊娠だったので、これがお腹の張りというものなのか、痛みなのか区別がつかず過ごしていたところ、痛みが増してきたため実母に相談し、救急外来を受診することにしました。医師は経膣エコーと経腹エコーの両方を入念に行ってくれました。なんて言われるのか不安の中、検査は終わり医師から説明がないまま車椅子で病棟に移動となりました。医師から、「双子のうち、1人が心拍が止まっています。ただ、もう1人の子は生きているけれど、今後その子も危ないかもしれない。時間の問題です。」と告げられました。私は、もう1人の子も失ってしまうのではないかって怖くなり、医師に「今すぐにでも生きている子を出したい、出してほしい」とお願いしましたが、妊娠26週での出産は赤ちゃんはまだ未熟ということで、管理入院となりました。妊娠31週までは羊水が多いと指摘されていましたが、突然羊水量が減ってしまい※1このままではもう1人の赤ちゃんも危ないと判断となり、緊急帝王切開で出産となりました。

※1羊水が少ないということは:日本産婦人科医会によると、超音波で羊水が少ない場合は破水をしている可能性、赤ちゃんの元気が無い状態を疑って、その原因を探る必要があります。おりものが多かったり、水様である場合は破水が疑われます。胎児発育が悪い場合に合併した羊水過少は胎児の元気度が下がっていないかを疑います。羊水が少ない状態が長く続くような場合は、分娩誘発(計画出産)を行う場合もあります。日本産婦人科医会・羊水が少ない

誕生と同時に一人を失う

 妊娠32週で緊急帝王切開で生まれた子は、しっかり呼吸をして生まれてきてくれ(長女)、すぐにNICUに入院となりました。長女が無事に生まれてきてくれ安心と喜びがありましたが、同時に亡くなったもう一人の子(次女、空ちゃん)を失った悲しみで、一人の母親として、相反する複雑な出産でした。
妊娠中は、長女が動くと、亡くなっている次女も動いているような感覚があって、もしかしたら生きているのではないかっていう希望もありました。生きていてほしい、何かの間違いであってほしいってずっと願っていました。でも、出産したら、やっぱり空ちゃんは息をしていませんでした。空ちゃんの生まれた時の身長は31.0cm、体重488gでした。
妊娠中にコツコツと準備していた娘たちのお揃いのお洋服や小物なども、今も次女の分は使わずしまって置いています。

写真3:ひつぎで眠っている空ちゃんの横に添えたお花は、娘2人の誕生花のリンドウのお花です。また、ひつぎの中にはいつかまた、パパとママの元に帰ってこれるようにと、ママの搾乳した母乳と、パパとママの髪の毛や爪も一緒に添えました。

姉妹でよくここまで頑張ったね

火葬前日の夜は病室で次女と一緒に過ごしました。ディズニーのオルゴールを流しながら、口元にミルクをあげたり、手や頭を撫でたりして、最初で最後の母と娘2人だけの時間を過ごしました。妊娠26週で心拍を止めてしまいましたが、姉妹で仲良くよくここまで頑張ってくれたねって感謝の気持ちでいっぱいでした。

悲しみと向き合う

妊娠したかもと気づいた時の喜び、双子と分かった時の驚きと幸せな時間は今でも忘れません。長女の成長を亡くした空ちゃんに重ねながら悲しみと向き合っています。もう少しで、空ちゃんが亡くなっている事が分かった命日(8月5日)がやってくるのですが、空ちゃんの一回忌と初盆が近いので、8月3日に地元の浜で空ちゃんに向けたメッセージ花火を打ち上げる予定です。

写真5:妊娠27週の空ちゃんのエコー写真です。すでに亡くなってしまっていますが、安らかに眠っている空ちゃんが愛おしくて、生まれた時のお顔とエコー写真そのままで、宝物ののエコー写真です。
⚠️いのちのSTORYは、当事者の実体験を記しています。そのため、なるべく当事者の言葉をそのまま使用することを重視しています。
⚠️お子さまを亡くされたご家族が深い悲しみの中、他にお子さまを亡くされたご家族の力になれればという想いから、記事にご協力くださいました。ご家族のご経験やお子さまへの想い・気持ちを守るために、当サイトの内容や画像の無断転載・無断使用は固く禁じております。ご理解いただけますと幸いです


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